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鹿児島の住宅業界に激震走る! クロノスホーム倒産

令和7年に入り、住宅会社も新年営業をスタートした。その中で、鹿児島市の(株)ヨリソイ(屋号:クロノスホーム)もそのはずだった。しかし、社員は出社したものの、事務所は閉まったまま。社長との連絡もつかない状態となっていた。仕方なく、社員は自宅待機となったが、一部の営業社員は施主との打ち合わせを行っていた。東京経済の電話も鳴りやまず、事務所閉鎖で倒産したのでは?との憶測が飛び交い、情報が錯綜した。

令和6年の早い段階から資金的に厳しさが漂い始め、支払いが遅れることもあり、資材納入業者や下請け会社などからの問合せも増えていった。12月20日の支払いも末日への延長が各所に要請され、25日の社員のボーナスも何の連絡もないまま支払いがなかった。そういう中での事務所が開かない状態であったため、厳しい状況が予想され、一部には説明会が開催されるとの情報も出たが、実際には開かれることはなかった。新年が明け、仕事始めの4日になっても事務所は開かず、取引先への支払いも従業員給与も支払われないままだった。14日になり、動きが出たのが一枚の張り紙だった。福岡市の弁護士事務所の弁護士3名連名で代理人を受任し、準備が整い次第、破産申し立てを行うこと、債権者、関係者に対する協力要請などが書かれていた。

その後、東京経済も債権者などの取材を進めたが、数千万円単位で焦げ付きが発生した企業も複数社あった。また、受注していた住宅は60棟余り、そのうち着工分が23棟あることが判明してきた。23棟の施主の方々のご苦労は大変なものだと容易に想像できる。しかし、破産申し立てを代理人弁護士が行い、裁判所が破産開始決定を命令し、破産管財人が決まらないことには事は進まないだろう。後を引き継ぐにも、それまでの工事進捗と支払額をはっきりさせ、(株)ヨリソイとの契約解除を法的に行った上でないと、引き継いでくれる業者はなかなかいないと思われる。業者が決まったとしても、(株)ヨリソイに支払ったものは、工事を引き継ぐ会社に渡されることはなく、工事進捗よりも多く支払がある場合には、その分を二重に支払う必要が出てくる可能性が高い。(株)ヨリソイに対する過払い分は債権として、破産手続きの中で配当が行われることになるが、過去の破産の例をなぞるならば、ごくわずかなものになるだろう。工事を急ごうとして無理やり何かを進めれば、傷を大きくしかねない。まずは破産管財人との話し、そして、ローンを組んだ銀行との話し合いが重要となる。