2025年に入り鹿児島県内で、住宅建築業者が相次いで倒産しました。特にクロノスホーム((株)ヨリソイ)では多くの施主さんが多大な迷惑を被りました。中には結局、建てることができなくなった事例もあるようです。なにかできる対策はなかったのでしょうか。実は、建築会社が倒産などで工事続行不能の事態に陥った場合の救済措置があるのです。それが「住宅完成保証(住宅完成保証制度)」です。
住宅完成保証とは
「住宅完成保証」は、住宅を新築する際に、建築会社が倒産などによって工事を完了できなくなった場合に、住宅の完成を支援する制度で、主に注文住宅の建築に関わるリスクを軽減するためのものです。保証会社が代替業者の手配や追加費用の補填を行うことによって、契約者が予定通り住宅を完成させられるようにサポートします。保証の対象は、前払いした契約金の一部や工事の再開にかかる追加費用で、建築会社が工事を続けられなくなったときに効力を発揮します。
ただ、任意の制度であるため、保証を受けるには住宅会社がこの制度に加入している必要があります。義務化されていないことからも、建築会社を選ぶ際にはぜひとも確認したいところです。
ほとんどの場合、保険料は施主の負担となりますが、5万円から10万円程度が多いようです。建築途中で建築会社が倒産しないかひやひやするか、安心しながら完成を待つかの問題なので、人ぞれぞれだとは思いますが、私なら掛けておきたいですね。
住宅完成保証と住宅瑕疵担保保証
似たような名前のものに「住宅瑕疵担保保証(住宅瑕疵担保責任保険)」というものあります。瑕疵とは欠陥の事で、2009年以降の住宅に「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」に基づき、保険への加入または保証金の供託が義務付けられているもので、建築会社は10年間の瑕疵担保責任を負わされます。仮に、建築会社が倒産しても保険会社から直接、改修工事のための保険金が受け取れる仕組みです。
要するに、「住宅完成保証」とは全く別の目的を持つものとなります。今回のような建築途中で建築会社が倒産したような場合には「住宅瑕疵担保保証」では保証を受けられません。逆に、住宅が完成し引渡が終われば、「住宅完成保証」で雨漏りなどの瑕疵の保証は受けられません。
「住宅完成保証」と「住宅瑕疵担保保証」は補完的な関係にあり、安心して住宅を建て、住むためには双方の理解と活用が重要となります。
